図書紹介「佐賀藩アームストロング砲」
著者:武雄淳(武高14期)
紹介者:緒方浩二郎
これは今春(2018年)、佐賀新聞社から発行された“佐賀藩アームストロング砲”という研究書で、著者は広島在住の武雄淳(じゅん)様、武高14 期の方です。
ご承知のように、今年は明治 150 年で、戊辰戦争では佐賀藩が当時の技術の最先端を走り、それを駆使した最新兵器アームストロング砲が大活躍したわけですが、これについては断片的な資料が散見されるだけで、まとまったものが見当たりませんでした。
著者の武雄淳先輩は、外国にまで足を運んでこの大砲に関する論文、史料をあたり、これまでにないレベルの論考にまでまとめておられます。
そして武雄との関連でいえば、武雄領主鍋島茂昌(しげはる)候に率いられて、秋田に派遣された武雄惣兵隊という 800 名の規模の軍団の戦いがあります。当時秋田藩は新政府軍につき、幕府を支持する周辺の東北各藩の連合軍に包囲されたわけですが、武雄惣兵隊は秋田救援に駆け付け、アームストロング砲を駆使して秋田藩の窮地を救いました。その経緯が、多数の兵士の実名とともにこの本には紹介されています。
私事で恐縮ですが、私の先祖は、戊辰戦争の頃は若木村在住でした。もしかすると先祖の名前が出ているかもしれないと、ワクワクして読みました。
先日武雄で、秋田竿灯祭りの代表が訪問して、祭りを再現するというイベントが開かれ、報道によりますと、これまでにない 8 万人の人出で、市内があふれたそうです。
これというのが、先ほどの秋田藩の末裔の人たちが、戊申の羽州戦争の折には武雄の人たちに助けてもらった、というわけで、今では日本を代表する祭りの一つになっている自分たちの竿灯祭りを、武雄の人たちにお見せすることで、150 年前の恩義に報いたい、といのが話がまとまった経緯だそうです。
この本は、東京支部の皆さんにもぜひ読んでいただきたい、ということで、著者の武雄先輩から小生あてに送られてきました。ご紹介した次第です。
(2018 年度東京支部総会支部長挨拶より)